長年、電源電源(大容量も含む)の製品評価にかかわってきたエンジニアの一人として、電源装置に関する○○を記載していこうと思う。

この記事はPart1の続きになります。
3.使用する出力を安定させるための機能
主に直流出力(DC出力)に関するお話になります。
3-1.出力電圧の安定性
バッテリー充電器など定電流出力型、低電力出力型は例外として、大体の電源装置は定電圧出力になっています。スイッチング電源では3.3V、5V、15V、24V、48Vなどが存在し、3.3Vと5VはCPUなどのディジタル回路、15Vはアナログ回路、24V、48VはFAN用などによく使われます。
この出力電圧が±1Vとか変動すると、出力側で誤動作を起こしかねないためリップル電圧およびリップル+スパイク電圧を測定するのが一般的です。
リップル電圧はAC入力周波数とスイッチング周波数に依存するため、この周期に合わせて波形測定を行い、Peak To Peak(通称pp)で読み取るのが一般的です。
アナログオシロスコープがあった頃はリップル+スパイク電圧測定は時間軸を大きくすることで簡単にできましたが、現在の一般的なデジタルオシロスコープでは難しい状況でが、時間軸とサンプリングポイント数を適正に合わせて実施するしかありません。
リップルのノイズメーターという計測器もありますが、私は使ったことがないので良く分からないというのが感想です。
各社の仕様書を見るとリップル電圧は出力電圧の1%Vppぐらい、リップルノイズ電圧は出力電圧の1%Vpp+100mVppっていうのが一般的なようです。
例:5V出力の場合、リップル電圧:50mVpp、リップルノイズ電圧:150mVpp
また、安定度の指標として出力ドリフト、温度ドリフト、時間経過ドリフトなども挙げられます。精密な仕様ではない限り±5%ぐらいに入っていれば十分ではないでしょうか。
出力ドリフトは出力電流0%、10%、50%、100%での基準電圧に対する変化量、温度ドリフトは仕様最低温度、+25℃(室温相当)、使用最大温度での基準電圧に対する変化量、時間経過ドリフトは一定出力での運転開始時、1分、30分、1時間などの基準電圧に対する変化量を測定しておくと分かりやすいです。
3-2.過電圧検出(OV)
発熱用の抵抗だとあまり関係ありませんが、CPUなどの半導体素子を使った回路では印加電圧が超過するとあっさりと壊れます。それを防ぐために過電圧検出機能が必要です。
大体の場合、フィードバックが検出できていないなど過電圧が発生するのは制御不能となった場合なので、出力停止をするのがほとんどだと思います。
この機能は反応時間が問題となるため、フィードバックを停止させ、出力をオシロスコープで測定し、動作確認をするのがほとんどでした。
3-3.過電流検出(OC)
実は出力側の装置の見込みが甘く、仕様電流を超過しているなんて場合があります。その場合は電源装置としては能力超過となるため、発煙、発火などの異常を防止するために出力制限をするのが一般的です。この機能が過電流検出による保護機能です。
保護方法はメーカーや製品によりますが、出力停止、定電流垂下、フの字垂下、停止/再起動の繰り返しなど様々です。
定電圧垂下やフの字垂下はオシロスコープや電圧、電流計を使って測定し、縦軸を電圧、横軸を電流にしてグラフにしたもので表す方法が分かりやすいと思います。
3-4.出力短絡保護
先ほどの過電流検出を超過して出力が短絡したときの動作に対する保護です。
一番怖いのは短絡状態での出力ON、次に出力でONにおける無負荷状態から短絡への急変です。
最近の電源は専用コントロールICによるものが多く、よっぽど設定間違いがない限り問題は無いと思いますが、オシロスコープを用いて動作検証をするのが一番やりやすく、結果を残しやすいと思います。
3-5.入力停電対策
日本では電気供給は安定しており、ほとんど停電は発生しません。しかし、場所によっては半波、1周期の停電が発生することは十分にある。半導体製造装置業界のSEMIなどにはもっと厳しい条件が記載されている。
それはさておき、少しの停電で影響が出るのはちょっと問題なのですよ…なので1周期ぐらいは問題ないようになっているか確認しておきたいところです。
大容量のプログラマブル交流安定化電源を用意して、オシロスコープで観測ですかね?入力突入電流に関係してくるので、そのあたりを測定してから実施検討をするとよいかと思います。
ちなみに設計者はこれらを踏まえて1次側のコンデンサ量を設定していただければ助かるんですよね。どうしようもなければUPSを置く形にすれば大丈夫です。
4.他の電気機器への影響を防止する性能
子供時代にファミリーコンピュータというゲーム機器がありました。(今でもハードオフなどにはあるようですが)当時、子供部屋にTVを入れてもらい遊んでたんですが…遊び始めるともう1台のTVにノイズが出まくるという状況でした。おかげで、時間制限を食らうことに💦
まぁ、そんな感じで他機器に影響が出るのは怖いのです。それが医療機器になった場合は…いうまでもなくです。
そのため、各種規格があるのです。代表的なのが日本のJIS、VCCI、欧州のIEC61000、EN55011、アメリカのFCC:47 CFR Part 15、47 CFR Part 18ですね。
4-1.入力高調波制限
AC入力には電源装置にて発生したノイズ(高調波)がリターンとして出ていきます。これが同じラインに接続している装置に入力されることになります。このノイズが大きいと先ほどのようなTVでの表示に影響が出るなどのような状況となります。
ノイズの測定方法にはそれぞれ規格によって決まっていますが、AC入力ノイズの場合は疑似電源回路網をACラインに接続し、その出力をEMIレシーバ、またはスペクトルアナライザで測定します。その測定結果が規格内なら合格となります。
沖電気:伝導エミッション(電圧法)https://www.oeg.co.jp/emc/auto_emc_dendou.html
なお、逆にノイズを印加して誤動作が発生しないかを確認する試験も安全規格には存在します。誤動作がでると一発NGなので、要注意な試験です。
4-2.放射電波制限
4-1は電線を通して出力されるノイズについてでしたが、電波として放射されるノイズもあります。こちらが放射電波制限になります。
電波はスマホに始まり、警察や消防、航空無線など多岐にわたって使用されています。昔からあるラジオもその一つ。そのようなものに影響が発生しないよう放射ノイズには上限が決められています。
普通なら問題は発生しないと思うのですが…スイッチング動作が急変過ぎたり、シールド処理が甘かったりすると発生しうるものです。
製品に対する安全規格を取得するときは必須となってることがほとんどなので、ノイズ測定サイトや測定エンジニア会社にお願いをして、実施すると対策も早く終わることがあります。
記事が長くなったため、製品の仕様に対する余裕度に関しては別記事にします。